
今回の被害想定は前回より地形データを精緻に分析した結果、30cm以上の浸水リスクのある地域が3割広がりました。
政府の作業部会は31日、南海トラフ巨大地震の被害想定を新たにまとめました。
経済被害は総額で292兆3千億円に達し、2025年度の一般会計総額(115兆円)の2倍を大きく上回ります。
インフラの老化が被害を拡大させ、建物の耐化など人命に直結する対策も計画通りに進んでいません。
国の存立に関わる事態と捉え、備えを充実させる必要があります。
政府の地震調査委員会は今後30年以内にマグニチュード(M)8〜9クラスの地震が80%程度の確率で起きると予想しています。
政府は2003年に東海、東南海、南海地震が連動した場合の被害想定を策定。
しかし、11年3月の東日本大震災で甚大な被害が発生した反省に立ち、12〜13年にさらに広い震源域を設定した南海トラフ地震の被害想定をまとめました。
14年には想定を踏まえ、死者数を8割減らす目標などを掲げた「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」を作りました。
計画策定から10年が経過したことを受け、社会の変化を反映するとともに進捗を検証するため、内閣府は23年に被害想定の見直しに着手。
中央防災会議の作業部会が約30回にわたり議論しました。
当初23年度中の公表を目指しましたが、24年1月の能登半島地震や同年8月に発表された南海トラフ地震臨時情報の見響で約1年遅れました。
この地震により家屋や地域のインフラが壊滅的な損傷を受けます。政府が示した新たな被害想定を踏まえ、民官で防災対策の見直しと深化を測っていく必要があります。