今回の改正対象となるのは、国民の基本的な契約ルールを示す民法「債権法」。「社会・経済の変化への対応」や「国民への分かりやすさ」を念頭に置き、検討が重ねられてきました。
施行は早くても2018年度中になるようです。
これまでの現行民法では現代の取引にそぐわない点も多く、判例の積み重ねや法の「解釈」に頼らざるを得ない面も少なからずありました。
そこで改正法では「確定した解釈」を条文に取り入れるなど、現実に沿って明文化・明確化した部分も多いのです。
たとえば「敷金のルールの明文化」。
これまで民法やその他の法律の中に明確な規定がなく、あくまでも不動産の賃貸借契約における慣行とされてきた敷金ですが、今回の民法改正でその定義が設けられるようです。
同時に、敷金の返還義務も明文化され、賃料の未払い分や故意・過失による損傷の修繕費用などがない限り、賃貸借契約が終了して明け渡す際に原則として敷金の全額が返還されます。
また、民法には賃貸人による「修繕義務」が規定されていますが、これに加えて、賃借人の故意過失による損傷については賃貸人に修繕義務がないこと、および賃借人が自ら修繕することのできる要件が明文化されました。
賃貸人が修繕の必要性を知ったにも関わらず相当の期間内に必要な修繕をしない時、あるいは急迫の事情がある場合には、賃借人が自ら修繕できるとしたものです。
改正される民法が全ての取引において最適とは限らず、様々な面でこれから調整も必要になるでしょう。