「デジタル庁」の創設と並行して、2021年5月には宅建業法の改正も含んだ「デジタル改革関連法」が成立しました。
これにより重説や契約書の交付・締結をオンラインで行うことが可能になります。
2021年9月1日、日本社会全体のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の実現に向けて、省庁横断的に、予算配分を含めた企画立案などの業務を行う新しい行政組織として「デジタル庁」が誕生しました。
不動産業界も、このDXの進展という動きで大きな影響を受けます。
たとえば、不動産取引の契約を締結するにあたっては、物件の買い手や借り手に対して、事前に書面を通じて重要事項の説明から契約書の交付・締結に至るまで、それらの説明をする際に「宅地建物取引士証」を買い手や借り手に提示したうえで行わなければならない、という法的な手順があります。
そのため、取引契約の最終局面において、不動産業者と買い手、あるいは借り手が直接対面する必要がありました。
しかし、デジタル改革関連法によって、それらはオンラインで行うことが可能になります。
さらに、借地借家法第38条 (定期建物賃貸借)も改正され、従来は書面締結でなければならなかった定期借家契約についても、オンライン化が可能になります。
不動産取引の契約がオンライン上で成立するようになると、買い手や借り手の利便性は大きく向上します。
たとえば、東京にオフィスを構えている不動産業者が、北海道にあるアパートの賃貸を仲介することも可能になります。
地元の物件を仲介していればよいという時代は終わり、業者間の競争環境は一段と厳しいものになります。
不動産業界に訪れる本格的なDXに対するしっかりとした準備が必須になりそうです。