いまだ新型コロナウイルスの感染は収まる気配を見せませんが、賃貸仲介における電子契約の完全解禁をはじめ、多拠点住居や不動産STOの登場など、デジタル化による環境の変化は加速しています。
貸住宅業界における今年のトピックとして、まず挙がるのが賃貸仲介の電子契約の全面解禁でしょう。
今年5月中旬までには、相手方の同意があれば賃貸仲介時の重要事項説明書や賃貸借契約書の電子交付が可能になります。
契約関係書類の電子交付については、19年10月から社会実験が行われていますが、実施件数が伸び悩んでいるようです。
その原因は、現状では電子交付だけでなく紙での交付を行う必要があり、手間が増えるから。このままでは十分な社会実験を経ないまま全面解禁となり、後々トラブルが発生する可能性も出てきました。
電子契約の本領は、仲介契約の周辺業務全てが電子化され、連携されてこそ発揮されます。
一部が紙のままであることでシステム連携できないと片手落ちになってしまいます。
それでも業界上げて推し進めていくのは、「業務効率化」「コスト削減」「文書ファイルを電子化して保存」など、将来的に見れば大きなメリットがあるからです。
同時に、業務フローの構築など、我々不動産業者が各々で対応・環境整備する必要もあります。
入居の申し込みから入居後のインフラ手続きまでワンストップで行えるプラットフォームの整備を複数の企業が進めており、今後はそのシェア争いも起きそうです。
そもそも電子化の流れは、従来の紙による契約ではコストや工数がかかるためにIT化を進めたことに端を発しています。
しかし土壇場になっても、なお多くの問題が山積しており、スムーズな電子契約への移行とは程遠いのが実情です。不動産会社にも柔軟な対応が求められそうです。