政府は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、
すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しており
2030年度において、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指しています。
※カーボンニュートラルとは※
温室効果ガス(二酸化炭素)の排出量と吸収量が均衡している状態のこと
主要先進国は、経済成長を図りつつ温室効果ガスの削減を進めています。
一方、日本では、炭素生産性がかつて世界最高水準だったものの
近年、その世界における位置づけが低下しつつあります。
炭素生産性を考慮した気候変動対策として、炭素投入量の増加を伴わずに経済成長を実現するとともに
省エネルギー等により炭素投入量を減少させていくことが求められます。
【地球温暖化対策計画における2030年46%削減目標の原油換算】では
「新築住宅における省エネルギー性能の向上」及び「既存住宅の断熱改修」のみで
全体の約5%(削減量344万キロリットル)が目標となっています。
住まいの脱炭素化に向けて
省エネルギー性能・断熱性の高い住宅の新築や住宅の断熱改修、省エネルギー型の設備の導入等により
暖房や冷房等に必要なエネルギー量を減少させる必要があり
住宅・小規模建築物(新築)の省エネルギー基準への適合を2025年度までに義務化するとともに
ZEH・ZEB水準の省エネルギー性能が確保された住宅・建築物の普及拡大により
さらなる省エネルギー化を目指すとしています。
※ZEH・ZEBとは※
ZEHは「net Zero Energy House」(一般住宅向けの建物が対象)を
ZEBは「net Zero Energy Building」(ビルや工場、学校などの建物対象)を指し
快適な室内環境を実現しながら消費するエネルギーをゼロにすることを目指した建物のこと。
ZEHは、省エネルギー対策により省エネルギー基準から20%以上の一次エネルギー消費量を削減したうえで
再生可能エネルギー等(太陽光発電設備等)の導入により、
100%以上の一次エネルギー消費量削減を満たす住宅です
また、
住宅建築時の運用時の二酸化炭素排出量削減とともに
新築時・改修時等の二酸化炭素排出量削減に取り組むことも重要です。
建築物の「建設」→「居住」→「修繕・更新・解体」のサイクルにおける
二酸化炭素排出量削減に向け、LCCM住宅の導入を促進していくとともに
LCCM住宅等や燃料電池の普及等により、再生可能エネルギーの利用を促進し
関連市場の拡大を通じた経済成長の実現を図ることが重要です。
※LCCM住宅とは※
LCCM(エルシーシーエム)(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅とは、
建設時、運用時、廃棄時において出来るだけ省CO2に取り組み、
さらに太陽光発電などを利用した再生可能エネルギーの創出により、
住宅建設時のCO2排出量も含めライフサイクルを通じてのCO2の収支をマイナスにする住宅です。
<現状と課題>
住宅の新築から廃棄までの二酸化炭素排出量を各段階で評価する「ライフサイクルアセスメント」によれば
運用時(居住時)の二酸化炭素排出量・・・全体の約75%を占めている
運用時以外の排出量・・・約25%を占めている
滅失住宅の平均築後経過年数(いわゆる住宅の寿命)は約38年とされており、
米国の約56年や
英国の約79年と比較すると短い
建築から解体・再利用等までのライフサイク ル全体を通して
二酸化炭素排出量をマイナスにする住宅の導入支援。
→断熱性能の向上、再エネ利用の促進、燃料電池の普及等により関連市場を拡大させ経済成長を実現する。
◆令和4年版国土交通白書概要より抜粋◆